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Story #01

怖さの先に、未来があった。

DWI FIGO RAMADHANI さんインドネシア出身|技能実習生(建設)

子どものころ、世界は少しこわかった

夕暮れが近づくと、空がゆっくりと赤く染まっていった。

家の前で遊ぶFIGOは、母の姿が見えなくなると、足を止めた。

いつもの場所。
それでも、そばにいてほしい人の姿が見えない。

外の世界は広く、まだ、少しこわかった。

「父は厳しい人でした。でも、“人生は自分で選びなさい”と教えてくれました。」

その言葉は、少年の胸の奥に残った。

自分の人生を、自分で選ぶ。

やがて、生まれ育った場所を離れるときにも。
父の言葉は、彼の中にあった。

2025.10

一歩を踏み出した日、日本へ

飛行機の窓の向こうに、雲が広がっていた。

家族のいる国が、遠くなっていく。
まだ知らない暮らしが、少しずつ近づいてくる。

「怖くてもやってみよう。」

その言葉を胸に、FIGOはインドネシアを飛び立った。

日本に来て、最初は言葉が通じなかった。
仕事にも、毎日の時間の流れにも、戸惑うことがあった。

「日本人は時間をすごく大切にします。最初は驚きました。」

教わって、戸惑って、また覚える。

慣れない言葉。
慣れない仕事。
注意を受けて、初めてわかることもある。

そんな毎日を重ねながら、
少しずつ、ここで働く自分になっていった。

厳しさの奥にある、あたたかさ

現場に響く、リーダーの大きな声。

最初は、こわかった。

けれど、仕事が終わると、その人が笑顔で声をかけてくれる。

「おつかれ。」

仕事中とは違う表情。
短い言葉に添えられた笑顔。

知らない国で過ごす一日の終わりに、
そんなやりとりがあった。

「最初は怖かったけど、今は“こうするといいよ”って優しく教えてくれます。日本の職場は、厳しさの中にあたたかさがあります。」

一緒に働き、教わり、言葉を交わす。
そうして過ごすうちに、大きな声の向こうにある気持ちが、少しずつ見えてきた。

「注意してくれるのは、期待してくれているから。“できるようになってほしい”っていう気持ちがあるんです。」

できるようになってほしい。

その願いを受け取って、
FIGOもまた、できるようになろうとする。

海を渡った先にも、
自分の成長を願ってくれる人がいた。

これからの家族のために

「日本に来て、自分に“よく頑張ったな”って言いたいです。」

覚えてきた言葉。
慣れてきた仕事。
こわかった声の向こうに、見つけた笑顔。

自分で選んだ道を振り返ると、
そこには、ここまで歩いてきた自分がいる。

夢は、まだ途中。
けれど今は、その先に思い描く暮らしがある。

「いつか、自分の力で家を建てたいです。これからできる家族が安心して暮らせる家を。」

まだ建っていない家。
まだ始まっていない、家族との暮らし。

今日、身につけることが、
いつか、その暮らしを支える力になる。

母の姿が見えなくなると、足を止めていた少年。

その彼が今、
家族が安心して暮らせる場所を、
自分の力でつくりたいと話している。

怖さの先に、未来があった。

そこには、大切な人と暮らす家がある。

編集後記

FIGOさんの話を聞きながら、幼いころの彼がいた家の前と、いつか彼が建てる家の景色が、心の中で重なりました。

そばにいる人に安心をもらっていた子どもが、
今度は、誰かが安心して暮らせる場所をつくろうとしている。

その間には、海を渡る決断があり、慣れない毎日がありました。
そして、日本で出会った人たちの言葉や、笑顔がありました。

一人の未来は、こうして、日々の関わりの中でも育っていくのだと思います。

何気なく交わす言葉が、
その人の明日を、少し心強くすることがある。

私たちも、そんな言葉を届けられる存在でありたい。

いつか、FIGOさんの家の話を聞ける日を、
楽しみにしています。

次のストーリー 最後まで、一緒に。

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まずは、
お話を伺います。

答えは、まだなくていい。
ひとつの会話から、
長くつづく関係は始まります。

人も仕事も、ながく気持ちよくつづく。

腕を組んで立つ人